2009 Fiscal Year Annual Research Report
心臓の機械的伸展により誘発される不整脈の機序解明への医工学的アプローチ
Project/Area Number |
08J09010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬尾 欣也 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | mechano-electric feedback / stretch-activated channels / stretck-induced arrhythmias / 心臓震盪 / 光学的膜電位マッピング |
Research Abstract |
心臓の機械的伸展により誘発される不整脈の機序解明のため、平成20年度には細胞レベルの研究により、伸展刺激により開くstretch-activated channelsがT管に局在する可能性を示唆する結果を得た。本年度は組織、臓器レベルの実験において、伸展刺激により誘発される細胞の興奮が如何にして臓器レベルの不整脈に至るかを検証した。 組織レベルの実験により、伸展刺激により誘発される心筋の興奮パターンが、刺激強度に応じて変化することが確かめられ、特に、心筋組織の薄い部分から興奮が誘発されやすいことが確かめられた。また組織の興奮が不均一になるのは、伸展強度が大きいものではなく、むしろ中程度のときであることも確認された。臓器レベルの実験では、右心室内からのバルーン拡張により、より生理的な伸展刺激を加え、伸展強度に応じた興奮パターンを調べたところ、組織実験と同様に、中程度の伸展刺激時に興奮の不均一性は最大となり、さらにそれらの興奮発生箇所は厚みの薄い箇所に位置していることも確かめられた。さらに、電気刺激による先行興奮を組み合わせ、coupling intervalを変えて致死的不整脈の誘発条件を調べたところ、ある限られたcoupling intelvalにおいて、中程度の伸展刺激時にのみ、渦巻様の興奮波(spiral reentry)が誘発されることが確認された。 以上の研究により、伸展刺激により誘発される不整脈の機序として、細胞レベルでは伸展刺激によりT管に局在するSACsを通して細胞の興奮が引き起こされ、それが組織の不均一な構造により修飾され、さらに、中程度の伸展刺激時に見られる不均一な興奮のみが臓器レベルの致死的不整脈に発展し得ると考えられる。
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Research Products
(3 results)