2009 Fiscal Year Annual Research Report
「ひので」による微細磁場から迫るダイナモ機構・コロナ加熱問題の解明
Project/Area Number |
08J09019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 遼子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 太陽 / 磁場 / ダイナモ |
Research Abstract |
太陽観測衛星「ひので」によって発見された短寿命水平磁場についての以下の研究を遂行した。 第一の研究は、短寿命水平磁場の3次元構造に関するものである。これまでの解析では、Milne-Eddington大気を仮定した偏光線輪郭の最小二乗フィットが用いられてきたが、この手法では、深さ方向に一定の物理量しか得られず、水平磁場が上層へ浮上しているのかに関しては推測の域を出ていなかった。そこで、磁場や速度の深さ方向の情報を考慮できるSIR (Stokes Inversion based on Response function)の手法を用い、高さ方向の物理量を得た。結果、短寿命水平磁場が太陽表面に出現して浮上していく様子を3次元的に捉え、得られた物理量からその浮上機構について詳細に議論することに成功した。この成果をThe Astrophysical Journalにて発表した。 第二の研究は、短寿命水平磁場の空間・時間分布に関するものである。Ishikawa & Tsuneta (2009)により、対流による局所的な磁場増幅機構によって短寿命水平磁場が生成されていることが明らかとなった。ダイナモ機構が駆動するためには、元となる種磁場が対流層に存在すると考えられるが、対流層は直接観測することはできない。そこで、短寿命水平磁場の空間・時間分布を調べることにした。その結果、短寿命水平磁場は、メソグラニュールと呼ばれる4000-7500km程度の対流構造の沈み込みの部分に局在していることが明らかとなった。一方、出現の時間間隔には特徴的な時間スケールはないことがわかった。これらは、磁場増幅に必要な種磁場がメソグラニュールスケールで分布していることを示唆する。これらの成果をまとめ、The Astrophysical Journal Letterにて発表した。
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Research Products
(6 results)