2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星による撮像から明らかにする地球大気・プラズマの長期的変遷
Project/Area Number |
08J09102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 豪 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラズマ圏 / 撮像 / 極端紫外光 / かぐや / 国際宇宙ステーション |
Research Abstract |
2007年に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」には我々のグループが開発した極端紫外光望遠鏡が搭載されている。2008年3月に観測を開始し、地球近傍のヘリウムイオン(30.4nm)および酸素イオン(83.4nm)の撮像に成功した。「かぐや」による赤道面付近からの撮像は子午面における地球近傍プラズマの空間的描像を得られる世界初の観測となる。過去に私が行った観測器の較正試験結果を用いて、「かぐや」が得た画像から地球近傍プラズマの2次元密度分布を算出した。その結果、高緯度磁力線が高度数千km程度まで高密度のヘリウムイオンで満たされている様子や、地球プラズマ圏およびプラズマ圏界面の子午面上での分布を明らかにした。これらの初期結果を論文として国際学術誌に投稿準備中である。 「かぐや」による撮像観測は遠距離から地球近傍プラズマの大局的な分布を得られる反面、光量の損失が大きいため長い積分時間が必要となる。この点を補うため私は低軌道を周回する国際宇宙ステーション「きぼう」からの地球近傍ヘリウムイオンおよび酸素イオンの撮像を計画した。「きぼう」搭載用の極端紫外光撮像装置は反射鏡、フィルタ、および2次元検出器からなる。反射鏡の表面にアルミニウムと酸化イットリウムを交互に積層することでヘリウムイオンの共鳴散乱光(30.4nm)に対する反射率を従来の2倍程度に向上できるだけでなく、混入成分となるヘリウム原子からの散乱光(58.4nm)に対する反射率を従来の30分の1程度まで抑えられることを計算から明らかにした。計算結果を元に反射鏡の設計を行い、現在試作品を製作中である。
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