2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 淳 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | サザエ / 有節サンゴモ / 付着珪藻 / 岩礁生態系 / 捕食-被食関係 |
Research Abstract |
相模湾東部長井沿岸の調査地点の各種海藻群落において、方形枠を用いた定期的な採集を行った結果、有節サンゴモ群落において他の海藻群落よりもサザエ浮遊幼生の高い着底密度が認められ、その後もサザエ初期稚貝・稚貝が連続的に採集された。室内実験によりアクキガイ科の巻貝ヒメヨウラクがサザエ初期稚貝・稚貝に対して特に活発な捕食行動を示すことが明らかになった。ヒメヨウラクに捕食されたサザエ初期稚貝・稚貝の殻上に穿孔痕が残ることが明らかになり、野外から採集された死亡個体の状態の調査と併せ、サザエ初期稚貝・稚貝の生残にヒメヨウラクの捕食が強く影響することが新たに分かった。異なるサイズのサザエ初期稚貝・稚貝を用いた餌料実験を実施し、有節サンゴモ類、その藻体上にある付着珪藻、およびマクサ(テングサ類)の餌料価値を検討した。その結果、有節サンゴモ類の藻体そのものの餌料価値は低く、藻体上の付着珪藻が初期稚貝の重要な餌料となっていること、一定のサイズ以上に成長するとマクサの藻体を摂食可能になり、珪藻食性から大型藻類食性に変化することを示した。加えて野外における有節サンゴモ藻体上の付着珪藻の密度と種組成の季節的な変動を明らかにした。さらに、室内実験によって、サザエ稚貝とニシキウズガイ科の小型植食性巻貝チグサガイとの間に有節サンゴモ藻体上の付着珪藻類を巡る競合関係があること明らかにした。調査海域のサザエ成貝の生殖腺を毎月調査し、雌雄それぞれの成熟度の変化を測定した。調査海域における着底個体の出現状況および各種環境データとの比較の結果、夏季の水温増加期と秋季の水温減少期に生殖腺指数の低下が認められたが、産卵期において生殖腺指数の個体差が大きく、着底初期の個体が散発的に出現した。このため、サザエは特定の環境因に誘発された大規模な同期的産卵を行わない可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)