2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 淳 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | サザエ / 有節サンゴモ / 小型巻貝類 / 岩礁生態系 / 資源量変動 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、相模湾東部長井沿岸の調査地点に存在する4種の海藻群落(有節サンゴモ群落、テングサ群落、アラメ・カジメ海中林、無節サンゴモ転石)において、方形枠を用いて群落内のサザエ稚貝を定期的に採集することで、サザエの分布、成長および生残を海藻群落間で比較した。また、各海藻群落の動物相・植生を調査し、海藻群落問でのサザエ浮遊幼生の着底密度や稚貝の成長・生残と比較した。その結果、捕食者である小型捕食性巻貝類や、サザエの重要な初期餌料であることが本研究で示された付着珪藻を巡る競合種のチグサガイの生息密度などの、各海藻群落の生物的な環境条件がサザエの成長・生残に大きく影響していることを示した。加えて、これまでの野外調査によるデータを含めて検討することで、サザエの初期減耗の変動要因を明らかにし、本種の加入量変動の機構に関する知見を集積した。 また、摂餌器官である歯舌の成長に伴う発達過程をサザエ科巻貝類では初めて明らかにし、サザエ初期稚貝・稚貝を用いた餌料実験の結果との比較により、サザエの初期生活史における食性変化を明らかにした。 以上の研究成果は、世界的に見ても知見が乏しいサザエ科巻貝類の初期生態について数多くの新知見を提供しており、また、海藻群落との関係性や小型底生動物との種間関係が加入量変動に大きく影響を及ぼすことを示したことは、沿岸岩礁域の底生動物研究に新規的かっ重要な研究視点を提示した。本年度は、これまでの研究成果を総括すると共に、投稿論文および国際学会において研究成果の一部を発表した。
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Research Products
(3 results)