2009 Fiscal Year Annual Research Report
ピンポイントX線とDDS薬剤による深部癌治療法の開発
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08J09137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 和恵 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 放射線治療 / ドラッグデリバリーシステム / 元素分析 |
Research Abstract |
X線とドラッグデリバリーシステムを組み合わせるためには、照射タイミングを最適化するため、薬剤の腫瘍・正常組織への分布を理解する必要がある。本年度は昨年度に引き続き、白金製剤含有高分子ミセルの一種である、シスプラチンミセルの体内動態を調べるため、陽子線およびシンクロトロン放射光を用いた細胞・組織サンプルの蛍光X線分析を行った。放射線医学総合研究所のμ-PIXEを用いて、細胞核内の白金含有量の測定を行い、サンプル作製法および照射の最適化を図った。また、高い感度をもつ東北大のμ-PIXEにより、シングルセルスキャニングを行った。カウント数が少ないものの、これまでよりも低濃度(100μM)のシスプラチンミセルで処理した細胞の細胞核・細胞質における白金分布画像が得られた。蛍光標識したミセルの顕微鏡画像と併せて評価することにより、白金製剤含有高分子ミセルの細胞内での動態解明が可能であると考えられる。放射光蛍光X線分析(SR-XRF)に関しては、SPring-8のBL37XUのマシンタイムを144時間獲得し、シスプラチンとシスプラチンミセルを投与後、1~24時間後のマウスの腫瘍組織および腎臓切片の白金・鉄・カリウム等の元素分布を取得した。腫瘍切片では、hypo/hyper-vascularな腫瘍の比較を行うと共に、血管からの距離と分布との関係を調べた。シスプラチンは投与後1時間で既に血管周囲に広く分布しているのに対し、シスプラチンミセルは時間が経つにつれ徐々に血管周囲へ浸透していく様子が観察された。腎臓切片はシスプラチン投与した場合は1時間後には既に尿管に白金が集中しており、8時間後も留まっていることから、周囲の細胞に取り込まれて腎毒性の原因となっていると考えられる。
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Research Products
(15 results)