2010 Fiscal Year Annual Research Report
ピンポイントX線とDDS薬剤による深部癌治療法の開発
Project/Area Number |
08J09137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 和恵 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 放射線治療 / ドラッグデリバリーシステム / 元素分析 |
Research Abstract |
本研究課題では、化学放射線治療の副作用を低減し、治療効果を増大させる有力な方法のひとつとして、ピンポイントX線と放射線増感剤のドラッグデリバリーを提案した。更に、その実現に向けて治療機器の開発と生物的な治療効果の評価を行った。前者に関しては、呼吸性移動を伴う腫瘍の追尾照射システムの開発の一環として、精度検証用の動体ファントムを開発した。平成22年度は、臨床で用いられている4次元放射線治療装置(4次元CT装置、呼吸波形検出器等)を用いた実証試験を行い、有用であることが示された。また、試験機で得られた知見を元に、汎用性の高い2号機の開発を行った。後者の生物的な評価に関しては、放射線医学総合研究所での細胞実験に加え、本学での動物実験による予備試験を行った。細胞実験では、シスプラチン含有高分子ミセルを培地と混合した後に、異なるタイミングで照射を行ったところ、ヒト肺癌細胞の種類によって細胞毒性が異なることを見出した。治療効果の最大化を図るには、放射線照射のタイミングを最適化する必要があることが示唆される。また、2種類のヒト肺癌細胞を用いたマウスの肺同所移植モデルの作成に成功し、シスプラチン含有高分子ミセルとγ線照射(左肺のみ)による治療効果評価の予備試験を行った。
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