2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 崇史 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 造血幹細胞 / 骨髄増殖性腫瘍(MPNs) / 原発性骨髄線維(PMF) / STAT5a / Abi-1 |
Research Abstract |
本研究ではAbi-1というシグナル伝達分子に着目し、造血幹細胞におけるAbi-1を介したシグナル伝達機構の解明を通じて自己複製制御機構の解明に取り組んできた。本研究課題最終年度である本年は、昨年度までに構築した2種類のスクリーニング系によりAbi-1相互作用因子のスクリーニングを行った結果、Abi-1結合因子としてc-Ab1の同定に成功したが、c-Ab1はAbi-1との結合が報告されている既知因子であり、本因子以外のAbi-1結合因子の同定は困難であった。 この一方で、我々はAbi-1により活性化される下流因子の一つであるSTAT5aに着目し研究を行ってきた結果、昨年度までに、造血幹細胞におけるSTAT5aの異常活性化が骨髄増殖性腫瘍の一病型である原発性骨髄線維症(PMF)を発症させることを明らかにし、純化した造血幹細胞に活性型STAT5aを遺伝子導入し、骨髄破壊的造血幹細胞移植を行う実験系においてヒトPMF症例に極めて酷似したPMFモデルマウスの作製に成功している。PMFは希少種疾患であり、病態や治療法に関して不明な点が多い疾患である。本年度は、本モデルを詳細に解析することで、その発症機序、病態及び疾患特性の解明に成功した。特に、骨髄内における異型巨核球の増殖がSTAT5aの異常活性化に伴うc-Myc発現上昇により惹起される点、異型巨核球から産生されるサイトカイン群が骨髄間質細胞の一部である中胚葉幹細胞の分化異常(線維化及び血管新生)を引き起こし、骨髄内微小環境を変化させることで全造血幹細胞を疲弊させる疾患特性を明らかにした点においては世界的にも新しく高い評価を受けている内容である。本研究内容は、昨年度に続きヨーロッパ血液学会からAwardを受賞している経緯からも、学術的価値と共に臨床的応用面における発展性も期待される内容であり、今後逸早く論文投稿する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Transient activation of c-MYC expression is critical for efficient platelet generation from human induced pluripotent stem cells2010
Author(s)
Naoya Takayama, Satoshi Nishimura, Sou Nakamura, Takafumi Shimizu, Ryoko Ohnishi, Makoto Otsu, Akira Sawaguchi, Kazutoshi Takahashi, Shinya Yamanaka, Hiromitsu Nakauchi, Koji Eto.
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Journal Title
Journal of Experimental Medicine
Volume: 207(13)
Pages: 2817-30
Peer Reviewed
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