2010 Fiscal Year Annual Research Report
mRNA分解酵素複合体CCR4-NOTの作用機構、及び、生理学的機能の解明
Project/Area Number |
08J09176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 健太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脱アデニル化 / CCR4-NOT合体 / 血管内皮細胞分化 |
Research Abstract |
昨今のmiRNA研究に象徴されるように、遺伝子発現制御機構におけるmRNA分解経路の重要性は広く生命科学の学問領域に受け入れられている。しかし、mRNA分解経路の律速段階且つ最上流のイベントであるポリ(A)尾部の短縮、即ち脱アデニル化の詳細なメカニズムや生理学的意義は未だ明らかにされていない。本研究は脱アデニル化を担うCCR4-NOT複合体の作用機構とその生理学的意義の解明を大きな目的としている。CCR4-NOT複合体は少なくとも9個のサブユニットから構成されており、これまでいくつかのサブユニットの機能が明らかにされているが、当該研究者が注目しているCNOT9についての知見は乏しいと言わざるを得ない。 当該研究者はCCR4-NOT複合体サブユニットCNOT9の機能を検討する目的で、当該複合体サブユニットCnot9遺伝子欠損マウスを作製、解析している。前年度までに当該研究者は、Cnot9遺伝子ホモ欠損マウスが胎生12.5日で胚性致死を示すことを明らかにし、その原因が胎児内血管網形成であることまで絞り込んだ。本年度は当該遺伝子欠損胚が示す血管網形成不全に対する詳細な検討を行った。OP9細胞共培養系を利用した実験を挙げる。本実験系を用いて当該遺伝子欠損胚卵黄嚢細胞を血管内皮細胞に分化させた結果、野生型に比べてコロニー形成数が少なく、1コロニーの直径も小さいことが分かった。さらに当該研究者は、CCR4-NOT複合体に直接制御されうる遺伝子を探索する目的でマイクロアレイ解析を行った。その結果、いくつかの候補遺伝子を絞り込むことが出来た。さらに、試験管内再構成系においてCNOT9タンパク質はCCR4-NOT複合体サブユニットで脱アデニル化触媒活性を持つCNOT7の活性に対して負に働くことを見出した。以上、本研究によりCCR4-NOT複合体の血管内皮細胞分化過程の関与が明らかとなった。
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Research Products
(4 results)