2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09187
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬戸 あづさ Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 構造生物学 / 転写 / 大腸癌 / タンパク質 / 結晶 |
Research Abstract |
本研究では「大腸癌の転移・癌化のメカニズムの構造的基盤の解明」と題し、大腸癌の癌化に関わるTGFβシグナル下流に存在するタンパク質であるDIP1(GCIP/HHM)の構造の解明に取り組んだ。精製においては、菌体を破砕する際にDIP1全長と一部が分解されたDIP1が混合していたため、イオン交換カラムによる両者の分離を行った。次に初期スクリーニングによって得られた結晶に還元剤TCEPを加えることにより、分解能を6.0Åから3.5Åまで向上させ、DIP1が10本のヘリックスから成るバングル構造を持つことを明らかにした。しかし、モデル構築をうには、分解能のさらなる向上が必要となり、複数の手法を用いて分解能向上を目指し、複数の手法を試みた。その結果、有機水銀化合物によるシステイン残基の非特異的結合の阻害により結晶の改善が見られた。改善された結晶では、分解能を3.05Åまで向上させることに成功し、モデル構築が可能な電子密度マップを得た。この電子密度マップより、DIP1の10本のヘリックスは、5本ずつの2本の束に分かれ、V字型の構造を持つことが判明した。HLH領域にアミノ酸残基を配置することを可能にした。HLH領域については、モデル構築も行い、DIP1のHLH領域は、他の蛋白質のHLH領域に比べ、鋭い角度で曲がっていることを示した。DIP1のHLH領域に存在するアミノ酸配列に類似した配列はまだ見つかっていないため、新規の構造である可能性が高い。また、DIP1とクラスB型塩基性HLH蛋白質であるOlig1のヘリックス領域のペプチドとの複合体の結晶化も試み、50μmの大きさの結晶を用いて、分解能5.0Åのデータを収集することに成功した。さらに結晶条件の精密化を行い、現在、約300μmの大きさの結晶を得ており、放射光施設での測定を行う予定である。
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Research Products
(1 results)