2008 Fiscal Year Annual Research Report
静電相互作用を利用した球状錯体内部へのアニオン集積とその反応
Project/Area Number |
08J09201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 貴 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己組織化 / 静電相互作用 / π共役系分子 / ポリオキソメタレート / DNA |
Research Abstract |
本年度私は、球状錯体内部への種々の機能性アニオンの包接、および多機能性アニオンであるDNAの球状錯体表面への集積を行った。蛍光を持つπ共役系分子は、会合状態を取ることで特異な分光学的性質を発現することが知られている。4価のアニオンであるピレンテトラスルホン酸イオンのカチオン性球状錯体内部への包接を行い、NMRによりピレン誘導体が球状錯体に包接されたことを明らかにした。カチオン性錯体への包接によって、ピレン誘導体がパラジウムイオンの近傍にトラップされ、蛍光が完全に消光されることがわかった。カチオン性錯体を用いることで、≠共役系分子の蛍光をON-OFF制御することができた。また、様々な触媒活性を持つ無機アニオン性クラスターであるポリオキソメタレートを包接することにも成功した。31P核を観測核とする拡散係数測定により、球状錯体内部に集積したカチオン性官能基の効果によってポリオキソメタレートが包接されていることを明らかにした。さらに私は、高度な機能を持つポリアニオンであるDNAの集積を検討した。DNAは生命の遺伝情報を司るとともに、相補的な二重鎖を形成する性質を持つことから、近年材料分野で注目されている。DNAを集積するための第一段階として、錯体表面へのオリゴヌクレオチドの集積を行った。折れ曲がりの外側にチミン1残基、および2残基からなるオリゴヌクレオチドを連結した配位子を合成し、パラジウムイオンと錯形成させることで、表面に24本のオリゴヌクレオチド鎖を集積した錯体を得ることに成功した。錯体の構造は、各種NMRおよびコールドスプレーイオン化質量分析によって行うことができた。今後、さらに長鎖のDNAを集積することで、相補的DNA鎖の認識など、多様な機能を持つ材料の創製に繋がると考えられる。
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Research Products
(2 results)