2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小寺 千絵 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小胞輸送 / COPII小胞 / 積み荷の選別・濃縮 / Sarlp / Sed4p |
Research Abstract |
小胞輸送経路経路の出発点であるERからGolgi体への輸送は、Coat Protein Complex II (COPII)小胞と呼ばれる輸送小胞によって担われている。COPII小胞の形成は、細胞質内に存在するGDP型の低分子量GTPase, Sarlpが、ER膜局在のGuanine nucleotied exchange factor (GEF)であるSec12pによってGTP型に変換されることによってスタートする。GTP型になったSarlpはER膜に結合し、同じく細胞質中に存在するコートタンパク質、Sec23/24pをリクルートする。Sec23/24pはSarlpおよび、輸送小胞に取り込まれる積み荷と結合し、Prebudding complexと呼ばれる複合体を形成する。続いて、コートタンパク質の外側のサブユニット、Sec13/31pが集合し、Prebudding complexを架橋していく。この過程で、Sarlpに対するGTPase activating protein (GAP)であるSec23pがSarlpのGTPase活性を促進することにより、Sarlpは結合しているGTPを加水分解し、GDP型になるとともに膜上から解離するが、この時コートタンパク質も続いて膜上から解離する。この結合と解離のサイクルを繰り返すことによって、COPII小胞へ取り込まれる積み荷の選別が行われているのではないかと考えられている。本研究では、SarlpのGEFであるSec12pの、出芽酵母におけるホモログ、Sed4pに着目し、解析を進めてきた。Sed4p細胞質ドメインGST-Sed4Nを用いた実験により、GST-Sed4Nは積み荷と結合していない状態のSarlpに選択的に結合しSarlpのGTPase活性を促進することにより・コートタンパク質の膜上からの解離を促進していることを明らかにした。ここから、GST-Sed4NはSarlpのGTP加水分解反応の促進を介して、COPII小胞に取り込まれる積み荷の中で、Sarlpに結合するものを選択し、濃縮を促進しているというモデルを構築した。本研究から、Sed4pは特定の積み荷の選別、濃縮に寄与していることが示唆されたが、これまでに輸送小胞へ特定の積み荷を積極的に濃縮するメカニズムは報告されておらず、画期的である。本研究はTraffic誌(2011)に報告した。また本年度は、COPII小胞形成のスタート地点となるSec12pの機能を制御する仕組みの発見を目指し、Sec12pと相互作用する因子の探索を行った。膜タンパク質の相互作用を検出できるsplit-ubiquitinシステムを用いて、ER膜上でSec12pと相互作用する因子を探索した。その結果、複数の候補が得られ、現在それら候補の解析を進めている。
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Research Products
(1 results)