2008 Fiscal Year Annual Research Report
他者存在がストレス反応に与える影響-NIRSを用いたニューロイメージング研究
Project/Area Number |
08J09209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯谷 悠子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | NIRS / 他者認知 / 視線知覚 |
Research Abstract |
本研究では、他者の存在・他者の視線をキーワードとして、対人ストレスとその他のストレスとの相互関係についてニューロイメージングの技法を用いて解明することを大きな目的としている。ひとくちに対人ストレスと言っても様々あるが、その根本にあるのは"他者が身近に存在すること"である。今年度は第1課題である「"他者"とはどのようなものがどのように認知されているのかに着目し、他者認知の神経生理学的な基盤に迫る」ことを中心に据えて検討した。日立製作所基礎研究所と協同し、NIRSを用いて他者認知過程評評価、および他者の存在がさまざまな認知課題遂行に与える影響に関してニューロイメージング研究を行うために、数か月をかけてNIRSの扱いに習熟した。 "他者"が意識される刺檄として"視線"を用い、ブロックデザインのプログラムを作成した。このプログラムを用い、相手が自分を"見ている"と感じるときと、"見ていない"と感じるときの脳機能の差を検討した。"見ているブロック"と"見ていないブロック"での脳機能の差を検討するために、それぞれの条件ブロックの活動から"コントロールブロック(oxボタン押し課題)"の活動を引いたものを"見ている"あるいは"見ていない"ときの活動とした。女性5名を対象にこのプログラムで予備実験を行った結果、"見ている"判断の時のみ、右脳の前頭前皮質が有意な反応を示した。つまり、人に見られていると感じているときには、右前頭前皮質の血流が有意に大きくなった。よって、この部位に"見られているか否が"の判断に関わるなんらかの機能があると考えられた。この結果を6月のHuman Brain Mappingにて発表し、国内外の研究者より多くの有益な助言を受けた。 今後、大人数を対象としてデータを集めるとともに、さらに心拍・血圧、唾液などの生理的な指標、および質問紙で性格などの個人特性を測り、これら指標との関連も含めて詳細な検討を行う。
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Research Products
(1 results)