Research Abstract |
前年度は,空間型操作を支援するポストWIMP型インタフェースの内,実世界と同様の感覚で,実物体に対して仮想的な描画が可能な筆型デバイスの開発を行った.本年度は,複合現実空間では実物体も仮想物体も同等に扱えることに着目し,仮想物体を対象としたデバイスの開発を行った.仮想物体を対象とした場合,描画対象に穂先が接触する際に生じる穂先のしなりや反力が無く,描画感に乏しいという問題がある.これを解決するために,力覚および視覚フィードバック機構を備えた新たな筆型デバイスの開発を行った.具体的には,力覚フィードバック機構として把持部の一部が可動する機構を,視覚フィードバックとして穂先を任意の方向・強度でしならせることが可能な機構を備えた試作デバイスを作成し,研究室内で運用した.試作デバイスではこれらの機構を駆動させるのにソレノイドを用いていたが,駆動量が調節できず,十分な解像度が得られなかった.そのため,DCモータを用いたデバイスへと改良し,より現実に近い描画感提示を実現した. 上記と平行して,「空間への入力」という広い観点から3次元複合現実空間における仮想物体の分解・観察に適した操作法に関する研究を行った.ここでは,多数のパーツで構成された複雑な仮想物体をジェスチャ操作によって部分的に分解し,手元でその詳細を観察するという作業を想定し,誤操作を回避可能,かつ,操作の快適性・応答の心地よさを向上させる手法を提案した.具体的には,実世界と同様の感覚で操作が行えるよう,磁石や接着剤のように,簡単には外れないが,意図的に力を加えることで外れる方法で接合された物体の挙動や応答を模したものとした. これらの成果は2010年9月のヒューマンインタフェースシンポジウム,翌年1月にMR分野の専門家が集うSIG-MRにて口頭発表を行った他,日本バーチャルリアリティ学会論文誌に学術論文として投稿した(現在査読中).
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