2008 Fiscal Year Annual Research Report
居住地域への愛着に着目した地域における協力行動促進に関する研究
Project/Area Number |
08J09218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 春菜 Kyoto University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地域愛着 / 態度・行動変容 / 消費行動 / 大規模小売店舗 |
Research Abstract |
人々が地域に対し抱く「愛着」は,まちづくりや地域防災といった地域での活動を円滑に進める上で,またその地域のコミュニティ維持において,積極的な地域活動を促しうる重要な要素である.本研究では,地域愛着の規定因及びインパクトについての学術的な知見を蓄積し,さらにそれらの知見をもとに,人々の地域愛着を醸成し,社会に資する良好な地域を形成するためにはどのようにしたらいいのか,という"処方的"な実践を試みた. 【地域愛着のインパクトについての基礎的研究】 地域愛着のインパクトとして,地域への協力行動をはじめとする土木計画にかかわる諸変数と地域愛着の間の統計的関係を質問紙調査の結果をもとに分析した.その結果,地域愛着が高い人ほど地域への活動に熱心であること,地域の活動を他人任せにしない傾向や地方行政を信頼する傾向が存在することが示された. 【処方的研究】 大型小売店舗の郊外での乱立や中心市街地の衰退によって自動車なしでは買い物をすることが難しくなった地域では買い物中の地域とふれ合い,他者とコミュニケーションを図る社交の機会が減少し,当該地域への地域愛着醸成が阻害されている可能性が推察される.そこで,地域での消費行動を促すことを意図したコミュニケーション実験を実施した.その結果,消費行動かもたらす影響や身近な店舗について見直す機会を提供するコミュニケーションによって,各影響について認知や,地域店舗の利用意図・行動が向上する可能性が示唆された. 以上のように,本研究は地域愛着に着目することで,各種交通施策・土地利用施策などが,地域愛着を変化させ,当該個人が為すまちづくり活動などの社会的行為をも変化させうる可能性を示唆した.さらに,地域愛着の醸成を促進しうるコミュニケーション施策について,実証的に検討した.
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Research Products
(6 results)