2008 Fiscal Year Annual Research Report
瓦センの導入と拡散の研究を通した東アジアの歴史・文化相の復元
Project/Area Number |
08J09251
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
李 銀眞 Ritsumeikan University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 考古学 / 新羅瓦 / 釜山 / 〓 / 韓国 / 地方瓦 / 前漢 / 瓦 |
Research Abstract |
1、「瓦〓の導入と拡散の研究を通した東アジアの歴史・文化相の復元」の研究は、東アジアの文化が展開される全体的な様相の中で、瓦〓の導入と拡散の様相を考古学・科学的に研究し、東アジアの歴史・文化相の復元に迫ることが目的である。特に、高句麗と百済の影響を受けて作られた新羅瓦を中心として研究を行っている。 研究成果のうち、「釜山大学校博物館所蔵の古新羅瓦に対する一考察」は、釜山大学校博物館で所蔵品している古新羅瓦を中心として、考古学的に細密な観察と分析を行い、製作時期と造瓦体制を想定したものである。ほぼ採集・購入・寄贈された資料であるが、現在まで報告されてない新資料が多いことが分かった。そして慶州の以外に地方(蔚州郡凡西面、金海、梁山、大邱)から出土した瓦に注目し、中央から地方へ拡散される様相と系譜を把握した。 2、先述した研究テーマを行いにあたって、私は新しく広い観点から瓦の様相を多角的に把握し、その全体的な文化の中で歴史・文化相を復元すべきだと考えている。研究成果のうち「前漢瓦〓の初歩的研究」の翻訳は、こうした研究背景の一環として行った成果である。 近年の瓦研究は、中国における考古学調査の成果が急増している中、東アジアのなかで通時的に造瓦技術を位置づけようとする動きがあり、西周以来、春秋戦国、南北朝や唐代に至るまで多くの成果をあげている。しかしながら、中国の瓦紋様、製作技術、編年研究は、現在も秦漢時代を中心に進められており、特に軒瓦が主な対象となっている。そのため、この論文で確認される前漢時代の〓、平瓦や丸瓦の特徴は、漢代の全体的な造瓦技法の変遷が伺えると共に、通史的な造瓦技術を理解することにおいて、重要な成果であると考えられる。 こうした最新研究の紹介は、韓中の研究成果を十分認知できず断片的に受け取っていた日本の韓中瓦の比較研究に、質的な資料を提供するとともに、東アジアの瓦研究の基盤を拡大する役割をすると期待される。
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Research Products
(2 results)