2009 Fiscal Year Annual Research Report
瓦センの導入と拡散の研究を通した東アジアの歴史・文化相の復元
Project/Area Number |
08J09251
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
李 銀眞 Ritsumeikan University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 楽浪 / 帯方 / 〓 / 製作技法 / 高浜市やきものの里かわら美術館 |
Research Abstract |
「瓦〓の導入と拡散の研究を通した東アジアの歴史・文化相の復元」の研究は、東アジアの文化が展開される全体的な様相の中で、瓦〓の導入と拡散の様相を考古学的・科学的に研究し、東アジアの歴史.文化相の復元に迫ることが目的である。 今回、研究対象とした〓は、建物築造のため、瓦と共に多く用いられた主要な建築部材であり、韓国の三国時代頃から使用された考古学遺物である。特に、楽浪・帯方の〓は中国、特に漢代の〓と酷似し、以後、影響を与える高句麗・新羅・百済の瓦〓にも、その脈絡上にあるのが分かつている。そのため、東アジアにおける瓦〓研究にあたって、国を超えた技術伝播の様相を解明できる非常に重要な考古学遺物の一つである。 しかしながら、既存研究は文様の比較研究あるいは外形的な特徴だけで単純に扱ってきた問題点があった。こうした問題点は既に本人が認識・指摘し、楽浪・帯方〓の形態的な変化を統計分析したことがある(李銀眞・高正龍・朴辰一2007「楽浪・帯方〓の集成と法量的検討」『朝鮮古代研究』第8号朝鮮古代研究刊行会)。 筆者の平成21年度の研究成果である「楽浪・帯方〓の製作技法」(7.研究発表の(1)-1)は、上記した研究成果を踏まえて、更に考古学的に分析したものである。本来、韓半島の平壌市・平安南道・黄海道付近にあった楽浪・帯方〓の流入経路を追及し、文献史料とともにこれらの製作技法を粘土採取から成形、乾燥、焼成に至るまで詳細に復原した。以後、こうした研究は東アジアの瓦〓の製作技法を始め、技術的な系統や編年研究の基盤を拡大するのに役割を果たすと期待される。
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Research Products
(3 results)