2009 Fiscal Year Annual Research Report
原始地球窒素循環の解明:太古代の有機物と流体包有物の窒素同位体組成に基づく解析
Project/Area Number |
08J09252
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
西澤 学 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, システム地球ラボ, 研究員
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Keywords | 太古代 / 窒素循環 / 窒素同位体 / 有機物 |
Research Abstract |
本課題の目的は地球初期太古代の地質試料に含まれる極微最の有機窒素と無機窒素の同位体比を決定し、未知であった原始海洋窒素循環を復元することである。しかし太古代の有機物の窒素含有量は低く、従来法では同位体測定が困難であった。前年度は、極微量の有機窒素の同位体分析法の基礎的開発をおこなった。今年度は、西オーストラリアピルバラクラトンに露出する35億年前の海底熱水系の地質試料から分析に最適な試料の選別と有機窒素の同位体測定をおこなった。また流体包有物を含む太古代の石英試料の記載・選別・電解洗浄を行い、流体包有物の溶存イオンの分析をおこなった。 太古代の熱水系試料の窒素記録を正しく解釈するため、超好熱性メタン菌が行う窒素固定の同位体分別を測定する必要が生まれた。そこでインド洋中央海嶺から単離された超好熱性メタン菌を使い、窒素分子以外の窒素化合物を除いた培地の中でこのメタン菌を培養し増殖させることに成功した。これと同時に同位体標識した窒素分子雰囲気下でメタン菌を増殖させ、メタン菌が窒素固定を確かに行っていることを確認した。さらに窒素固定酵素が要求する鉄やモリブデンの濃度を変えた培地を用いて、メタン菌の窒素固定速度と同位体分別の関係を調べた。以上からメタン菌の窒素固定に伴う窒素同位体分別を求めた。実験で得られた同位体分別をもとに、地質試料に保存された原始熱水の窒素分子と有機物の窒素同位体比の結果を解釈した。その結果、35億年前の海底熱水系には窒素固定を行う超好熱性のメタン菌が生息した可能性があることが分かった。
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Research Products
(6 results)