2008 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液化学に立脚した低エネルギープロセスによる機能性材料の合成
Project/Area Number |
08J09329
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 亮 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水溶性チタン錯体 / インターカレーション / 酸化チタン / ブルカイト / 水熱処理 / 形態制御 |
Research Abstract |
本研究課題は「水溶液化学に立脚した低エネルギープロセスによる機能性材料の合成」であり,独自の水溶性チタン錯体を用いることを特徴とする.今年度は、酸化チタン-ハイドロタルサイト光触媒を作製するために,ハイドロタルサイト合成条件に加え,インターカレーション手法,チタン濃度,温度、時間などを検討し,水溶性チタン錯体のハイドロタルサイトへのインターカレーション挙動についての知見を深めた.また、上記過程で水溶性チタン錯体の水熱処理により,合成が困難であるとされるブルカイト型酸化チタンの形態制御が可能であることを見出した.これまでに,水溶性チタン錯体の1つであるグリコール酸チタン錯体を用いた酸化チタンの水熱合成については詳細に調査を行ってきたが、他の配位子を有するチタン錯体については,グリコール酸チタン錯体と比べ実施例が少なかった。このことから、今年度はグリコール酸以外の配位子(乳酸,リンゴ酸,クエン酸,酒石酸)を有するチタン錯体の水熱処理による酸化チタン合成について詳細に検討を行った.その結果,クエン酸チタン錯体からは通常得られるよりも大きなアスペクト比を有する特異な形態を有するブルカイト型酸化チタンが得られることを見出し,また,その伸長方向を明らかにすることに成功した.アスペクト比の大きなブルカイトが得られる要因を特定するために種々の実験を行い,反応溶液中に存在する添加物や錯体の種類が得られる酸化チタンの構造に大きな影響を与えると結論付けた.ブルカイト型酸化チタンの形態制御例は極めて僅少であり,本研究成果は学術的に大変意義深い.他の配位子を有するチタン錯体においても同様に実験を行い,各錯体の水熱処理による酸化チタン合成の理解を深めることに成功し,これらの基礎的な知見は目的光触媒を作製する上で極めて重要である言える.
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Research Products
(29 results)