2010 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液化学に立脚した低エネルギープロセスによる機能性材料の合成
Project/Area Number |
08J09329
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 亮 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水溶性チタン錯体 / 精密構造解析 / 酸化チタン / ケミカルデザイン / 形態制御 / 溶液プロセス |
Research Abstract |
本年度の研究の大半は「海外優秀若手研究者海外派遣事業」の支援を受け、スウェーデン王国シャルマース工科大学にて行い、精密構造解析技術の習得を目指した。本研究課題では、水溶液プロセスによる構造が高度に制御された材料の合成を目指していることから、対象材料の精密構造解析についての知見を得ることは本研究課題を遂行する上で非常に重要である。モデル物質をZn_<2-x/2>Ti_<1-x>Nb_xO_4イオン伝導体とし、中性子線を用いた飛行時間(time-of-flight)による全散乱測定結果を利用したRietveld解析に加え、金属イオン-酸化物イオン間の結合電子価の総計(Bond Valence Sum)、逆モンテカルロ法により、各元素の位置の精密化を実施した。その結果、x=0.1の系においてNbは八面体位置を占有しており、八面体位置にのみカチオン欠陥が生じることを明らかにした。一方で、x=0.3の系については、Nbは四面体位置と八面体位置のそれぞれを占有していることが示唆された。また、合成した各試料の伝導度測定を交流インピーダンス法により行い、本試料の伝導率がNbのドープ量とともに増加することを明らかにした。さらに本年度は、昨年度見出した水溶性チタン錯体の濃アミン溶液を用いたソルボサーマル処理による球状粒子生成手法を詳細に調査した。本法を溶液法による新しい球状無機材料の作製手法として提案することは、本法が球状粒子作製法として奇異であることから大変意義深い。各種測定により、球状粒子は、アミンがインターカレートされたH_2Ti_2O_5・H_2Oから構成されることを明らかにした。一方で、四塩化チタンをチタン源に用いると球状粒子は生成しなかった。また、球状凝集体の生成の要因が、アミン/Ti比ではなく、80wt%以上のアミン濃度であることを明らかにした。これらの結果から、球状粒子生成には水溶性チタン錯体と濃アミン溶液が必須であることが明らかにされた。以上のように本研究課題において水溶液化学に立脚した多角的な材料合成が可能であることが示された。
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Research Products
(7 results)