Research Abstract |
これまで柔軟物体の高速マニピュレーションを実現するために,紐の柔軟特性をキャンセルするような戦略を提案し,紐結び操作を実現してきた.このような方法は静的マニピュレーションに分類されるが,今後マニピュレーション技能を向上させるためには,静的ではなく動的マニピュレーションが必要である.そこで本年度は,高速なロボットシステムを用いて柔軟物体の変形を利用した動的結び操作の研究を実施した. 柔軟物体の動的マニピュレーションを実現するためには,柔軟物体をモデル化し,モデルを基にした軌道生成が極めて重要である。従来提案されている柔軟物体のモデル(微分方程式)は複雑なため,解析が困難で,軌道生成や制御手法の提案を困難にしている.さらに,モデルパラメータに大きく依存するにも関わらず,モデルパラメータの推定が困難であり,モデルの導出は極めて困難である.本研究では,高速ロボットシステムを用いて,ロボットが高速に動作していれば,このような複雑なモデルを,比較的簡単に柔軟物体の動的挙動を再現できるようなモデル(代数方程式)を提案している.提案モデルの利点は,パラメータが1つしかなく,シミュレーションの計算時間が短いことが挙げられる.最大の利点は,これまでモデルの解析がしにくく,軌道生成することが困難であったが,モデルが代数方程式になったことにより,所望の紐の形状を与えれば,ロボットの軌道を得ることができる点である.得られた軌道を用いて実機実験を行った結果,動的結び操作を実現することができ,提案モデルの妥当性・軌道生成手法の有効性を確認することができた. その他に,2台の高速多指ハンドを用いたマニピュレーションについて,紐などの線状柔軟物体から布などの面状柔軟物体の操りを目指して,布の動的折りたたみ操作の解析とモデル化を行った.
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