2008 Fiscal Year Annual Research Report
弱い光学非線形性をもつ媒質における単一光子誘起位相シフト測定技術の確立とその応用
Project/Area Number |
08J09351
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 信幸 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子光学 / 非線形光学 / 光導波路 / 量子位相ゲート / シリコン細線導波路 / フォトニック結晶ファイバ |
Research Abstract |
単一光子レベルの非常に微弱なコヒーレント光が光ファイバ中で誘起する光学非線形性を測定する技術を確立した。フォトニック結晶ファイバ中で平均光子数1のポンプ光パルスがプローブ光パルスに引き起こす10^(-7)ラジアン程度の位相シフトを測定することに成功した。また、プローブ光光子数がポンプ光光子数より著しく(6桁程度)大きい場合でもプローブ光の位相シフトの値が正しく測定されること、ポンプ光の光子数に対して光カー効果の時間応答形状が一定であることなどの検証を行った。本研究により、比較的容易に入手可能な非線形媒質においても単一光子レベルでの非線形位相シフトが測定可能であることが実証された。また、シリコン細線導波路を光カー媒質として用い、微弱光領域での光学非線形性を通信波長帯パルス光源(波長1.55μm)を用いて測定した。結果、微弱光領域においてポンプ光の一光子励起で生成された自由キャリアによる屈折率変調が確認された。従来、通信波長帯においては、シリコン単結晶を用いた導波路においては二光子間接遷移で生成された自由キャリアの分散が知られていたが、一光子励起による自由キャリアは今回初めて観測された。この効果は光カー効果同様ポンプ光光子数に比例し、単一光子レベルにおいても測定可能である。したがって、電子分極に起因する光カー位相シフトと自由キャリア励起による位相シフトを単一光子強度下で比較可能である。これら技術を応用することで、光の量子状態や媒質の非線形過程等、様々な条件下での単一光子非線形応答の測定を行うことが可能となり、光量子ゲートの媒質の選定等に対して新たな知見を与えることが期待される。
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Research Products
(7 results)