2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛系半導体の極微ナノ構造創製と高輝度発光デバイスの研究
Project/Area Number |
08J09358
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 兼司 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 特別研究員DC2
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Keywords | 酸化亜鉛系半導体 / 組成ゆらぎ / 発光寿命 / 量子構造 |
Research Abstract |
平成20年度は下記2項目の研究を行った. ・ZnO系半導体(ZnO,Zn_<1-x>Cd_xO,Mg_yZn_<1-y>O)の発光再結合メカニズムの解明 ・Zn_<1-x>、Cd_xO系ナノ構造からの量子効果を観測 発光メカニズムとしてZnO系半導体中の混晶組成ゆらぎを調べるために,低温での時間分解フォトルミネセンス(PL)を測定した。時間分解フォトルミネセンス測定は共同研究中のNTT物性科学基礎研究所に短期で滞在して行った.Zn_<1-x>Cd_xOの発光寿命のエネルギー分散をOueslatiモデルに適応させることで局在深さE_0(Cd組成ゆらぎの程度を示す)と移動度端エネルギーE_<mc>の相関を明らかにした.Cd組成0.2付近でE_0が極大,すなわちCd組成が極大となることが分かった.この結果からZn_<1-x>Cd_xOのCd組成ゆらぎがPL半値幅を大きくしていることが分かった.Zn_<1-x>Cd_xOは発光デバイスの発光層として用いられるため,その混晶組成ゆらぎを明らかにしたことは重要である.さらに広範囲のCd組成(0<x<0.6)においてZn_<1-x>Cd_xO中Cd組成ゆらぎを系統的に実験結果を示したのは初めてである. ナノ構造として,Zn_<1-x>Cd_xO/ZnO多重量井戸構造(MQWs)からの量子効果(PLブルーシフト)の観測した.MQWsはa面サファイア基板上に形成した10周期のZn_<1-x>Cd_xO発光層(L_w)/ZnO障壁層(10nm)からなる.MQWsからのPLピークの井戸層幅依存性より,Zn_<1-x>Cd_xO井戸層幅L_wを2nm程度まで小さくしたときに量子効果の発現よるPLのブルーシフトを観測した.実験結果は有限矩形井戸モデルでのSchrodinger方程式を解いた計算結果とうまく合い,Zn_<1-x>Cd_xO井戸層に量子準位が形成していることを示している.この研究成果はZn_<1-x>Cd_xO系ナノ構造のフィージビリティを示した.
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Research Products
(6 results)