2008 Fiscal Year Annual Research Report
TTP(テトラチアペンタレン)骨格を有する有機半導体の新規開発
Project/Area Number |
08J09420
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂東 祥匡 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | テトラチアペンタレン分子 / 有機電界効果トランジスタ |
Research Abstract |
有機電子材料は優れた絶縁性や加工性を生かし絶縁材料などとして広く用いられてきたが、近年、有機半導体材料がフレキシブルな電子デバイスを安価に大量に作成できることから注目を集めている。数多くの分子が有機伝導材料として研究されている中で、テトラチアフルバレン(TTF)誘導体は有機超伝導体を与える電子供与体として知られており、有機トランジスタ材料としても高い特性を示す。本研究では、TTF誘導体に含まれる1,3-ジチオール環を2つ背中合わせにつなげたテトラチアペンタレン(TTP)骨格を用い、末端をアルキル置換した新規TTP分子による有機トランジスタ材料の開発を行った。 TTP分子を用いた新規有機トランジスタ材料はフォスファイトを用いた特殊なカップリング反応で合成した。酸化還元電位や紫外可視光スペクトルから、これらの分子がTTFより弱い電子供与体であり、TTFより大きいエネルギーギャップを有していることを明らかにした。これらの分子を用いて真空蒸着法で作製した有機トランジスタはどれも典型的なp型のトランジスタ特性を示し、特にシクロペンタン基でキャップした分子は移動度0.27cm^2/Vsと比較的高いトランジスタ特性を示した。これらの分子が弱い電子供与体であることと関連して、作製した有機トランジスタは低いオフ電流を示した。作成したTTP誘導体は、様々な結晶構造を有し、薄膜のモルフォロジーは大きく異なっていた。単結晶構造解析の結果から、これらの誘導体は2次元的な分子間相互作用を有する分子と3次元的な相互作用を有する分子に分類でき、2次元的な相互作用を有する分子が1桁近く高いトランジスタ特性を与えた。これは2次元的な相互作用を有する物質が良質な薄膜を形成する一方、3次元的な相互作用を有する物質はグレイン間に大きなギャップを有する乱れたモルフォロジーを与え、特性が低下したためと考えられる。このように、本研究ではアルキルキャップしたTTP分子おいて高い特性を示す有機トランジスタを実現した。
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Research Products
(9 results)