2008 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な塩基識別能を有する人工核酸の創製と遺伝子検出への応用
Project/Area Number |
08J09483
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々見 武志 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生物有機化学 / 修飾核酸 / 分子認識 / グアニン / カルバモイル基 / アシル交換反応 / ミスマッチ塩基対 / ハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
天然塩基のハイブリダイゼーションを利用した既存の遺伝子診断では、配列によって安定なミスマッチ塩基対を形成するため、正確な分子認識をおこなえないという問題があった。そこで、核酸塩基に有機化学的に修飾を施すことで、高い塩基対認識能をもつ人工核酸の研究をおこなってきた。これまでに、高い塩基塩基識別能をもつ2-N-カルバモイルグアニン(cmG)を見出した。 本研究では、cmGホスホロアミダイトの簡便合成法の検討をおこなった。既存のcmGホスホロアミダイトの合成では、精製操作を容易にするためにジフェニルカルバモイル(Dpc)基によりグアニンのO-6位に保護基を導入した。ところが、新規cmGの合成においては、O-6位に保護基を導入することなく、短工程で合成することに成功した。新規cmGホスホロアミダイトをオリゴヌクレオチドヘと導入したところ、何らかの副反応が確認された。本年度の研究では、モノヌクレオシドレベルでこの副反応の詳細な検討をおこなった。オリゴヌクレオチド合成時に用いるアシル化剤の酸無水物とグアニン残基のカルバモイル基が反応し、カルバモイル基がアシル基へと交換反応がおきていることを確認した。このグアニンに導入されたアシル基は、オリゴヌクレオチド合成時の脱保護処理で容易に脱離してしまうため、最終的にグアニンに修飾したカルバモイル基が脱離してしまうという結果になった。また、O-6位に保護基を導入することで、この副反応を抑制できることもわかった。DNA自動合成機によりO-6位が保護された既存のcmGホスホロアミダイトを用いると純度よくオリゴヌクレオチドを合成することを確認した。今後、O-6位を保護しない新規cmGホスホロアミダイトは、オリゴヌクレオチド合成にアシル化剤に酸無水物を用いないなどの工夫をすれば、天然のグアニン塩基の有用な代替塩基になることが期待される。
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Research Products
(3 results)