2009 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーカミオカンデにおけるWIMP対消滅ニュートリノの探索
Project/Area Number |
08J09484
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 隆之 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ / ダークマター |
Research Abstract |
本年度は、WIMP対消滅起源のニュートリノイベント解析を本格的にスタートさせた。スーパーカミオカンデにて今まで取得されたすべての上向きミューオン(upmu)イベントを用いて太陽からやってくるイベントの到来方向分布を新たに導入したシミュレーションツールを用いて算出し、フラックスリミットを求めた。また、求まったフラックスリミットを用いてWIMPの情報の一つであるSpin-dependent相互作用の断面積リミットを算出した。ここでは競合実験と比較して、特に低質量WIMPに対して世界最高感度のリミットをつけることが出来た。 また、同様に銀河中心でのWIMP対消滅の探索も行った。銀河中心からのupmuイベントを算出し、到来分布を算出し、さらにフラックスのリミットを求めた。また、荷電粒子観測実験により示唆された銀河モデルから予想されるupmuイベント数と、算出されたリミットを比較し、モデル棄却可能性を議論した。 この結果は宇宙線国際会議(ICRC2009)や、CCAPPシンポジウムなどの国際学会にて発表され、現在結果を論文にまとめている。 また、更に精度のよい解析手法に関して議論するために,オハイオ州立大学のCCAPPに赴き一カ月程度滞在した。そこでは新しいシミュレーションツールを用いたWIMPイベントの解析手法を議論した。また、本研究に関わる部分以外にも多くの研究者と活発な議論を行うことで最先端の多くの知識を得ることが出来た。この研究結果に関する論文は現在執筆中である。 また、検出器較正に関しても貢献を果たした。現在検出器内の光電子増倍管の応答に対する較正に用いられている光源球からは一様等方な光が放出されていると考えられているが、実際の等方性は測定されておらず、長年大きな系統誤差の一つとなっていた。そこでその等方性を測定するための器具を設計、製作し、実際に光源球の等方性の測定を行った。それにより、光源球の等方性に関する理解が深まりシステマティック低減に向け現在さらなる精密解析を行っている。
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