2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09492
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
堀田 義太郎 Ritsumeikan University, 先端総合学術研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分配的正義論 / ケア / 生命倫理 / 障害 / 福祉制度 / 労働市場 |
Research Abstract |
1.分配的正義論における自発性の位置をめぐる研究。分配的正義論がケア活動の脱家族化を目的として採用する準市場化の意義と限界を明確化した。(1)既存の労働市場でケア活動を職業として選択する個人の自発性に期待する限り、ケア活動は貶価されたままに留まること、(2)この問題が、正義論における市場と家族の位置をめぐる理論的諸課題に直結していることを示しか。市場と家族における負担の格差を是正する理論としての正義論の意義と限界を、正義論が市場に委ねる具体的な活動に即して明示したことに、本研究の意義がある。 2.社会福祉制度の意義と限界をめぐる研究。集中的なケアを要する難病患者の生活を支えるために何か必要であり、既存の制度に何が欠けているのかを、実証調査を踏まえて明確化した。障害者介護福祉制度は医療と並んで分配的正義論の典型的な対象であり、正義論の理論的射程は、介護福祉医療制度の具体的な調査研究から得られる知見によって吟味される必要がある。この観点から本研究では、二名の患者の入退院プロセスに随行し、介護福祉医療制度の諸課題を明らかにすると同時に、家族の機能を再検討するための考察課題を抽出した。 3.身体への介入範囲とその正当化理由をめぐる研究として、人体組織利用の条件、終末期医療における決定プロセス、特定の治療的介入/非介入の決定要因をそれぞれ具体的な生命倫理領域の議論に即して検討した。身体への介入の範囲とその正当化理由の検討を通して、医療的介入をめぐる規範的判断と、その背景にある社会的諸条件や価値観との連関性を明確化した。 なお、これらの研究成果は2008年度内に論文として執筆し公表した。
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Research Products
(11 results)