2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09493
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
渡部 浩之 Iwate University, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生殖工学 / 顕微授精 / 雄性生殖胚 |
Research Abstract |
【目的】再生医療に関する研究に焦点があてられてきた昨今、胚性幹細胞(ES細胞)に関する研究が重要になってきている。しかし、ヒトのような卵子の利用が困難な種のES細胞に関する研究は遅れている。そのような種の精子から異種卵細胞質を利用した雄性生殖胚を作出し、ES細胞に分化させることが可能になれば、この問題を解決できるかもしれない。本研究では、雄性生殖胚の作出効率改善と発生機序を解明することを目的とした。そこで本年度では、雄性生殖胚の作出効率を向上させることに焦点をあて、作出方法に着目し実験を実施した。【方法】精子2ヶから発生する雄性生殖胚の特徴を考慮し、雌性核の存在および卵子細胞質量が雄性生殖胚の発育に及ぼす影響を調査するために、1)除核した卵子に2ヶの精子を顕微注入する方法、2)成熟卵子に2ヶの精子を顕微注入し故意に3倍体を作製した後、雌性核のみを取り出す方法、3)2ヶの卵子を融合させ、2ヶ分の細胞質を持った卵子に2ヶの精子を顕微注入する方法で雄性生殖胚を作出し、作出効率を比較した。【結果および考察】全ての実験区で通常の顕微受精卵と同等の受精率(95-100%)が得られた。しかし胚盤胞発生率では、雄性生殖胚(12-20%)は通常の顕微授精胚(79%)と比べて有意に低かった。また、雄性生殖胚では2細胞期以降の発育遅延が観察され、発育が進行した胚でも大部分がコンパクション期で発育を停止し、その後変性した。以上の結果から、雄性生殖胚は2細胞期以降の発育遅延が顕著であり、2細胞期でのzygotic gene activationが不十分である可能性が考えられた。現在、人為的にzygotic gene activationを誘起できるか否かを調査しており、今後雄性生殖胚に応用する予定である。
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Research Products
(4 results)