2008 Fiscal Year Annual Research Report
先進レーザ計測と極微量成分リアルタイム分析に基づく燃料電池の水分制御と高耐久化
Project/Area Number |
08J09495
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 義喜 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 微細孔層 / 水分輸送 / 磁気共鳴画像法 / 波長可変型半導体レーザ吸収分光法 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)の実用化へ強く求められている低加湿運転下における高性能化へ向け,水分制御技術の確立が必要不可欠となっている.PEFCは,電解質膜を含水させることで高性能化を図ることが出来るため,電解質膜内への水分輸送を促進させることが重要であると考えられる.そこで本研究では,その方策の一つとして期待されている微細孔層(MPL)の電解質膜内水分輸送現象へ及ぼす影響について,波長可変型半導体レーザ吸収分光法(TDLAS)および核ラベリング磁気共鳴画像法(NL-MRI)を用いて解明を進めた. TDLAS計測システムを用いたPEFC流路内水蒸気濃度分布計測の結果,酸素極側に挿入したMPLによって,発電生成水の電解質膜内への水分輸送が促進され,酸素極側加湿水の電解質膜内への水分輸送が抑制されることが明らかになった. こうして得られた水分輸送現象に対する理解を踏まえ,NL-MRIによるPEFC電解質膜内含水分布計測を行った.その結果,酸素極側に挿入したMPLによって,発電生成水による電解質膜含水が促進され,酸素極側加湿水による電解質膜含水が抑制されることが明らかになった. ここで,PEFC低加湿運転下においては,外部から供給する加湿水量が減少するため,発電生成水による電解質膜含水が重要となってくる.つまり,本研究において明らかになったMPLによって発電生成水による電解質膜含水が促進されるという知見は,低加湿運転における水分制御へ向けて,MPLが有効であることを示唆しており重要な知見である.
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