2008 Fiscal Year Annual Research Report
わが国における高齢者ソーシャルワークの実践モデルの開発に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
08J09496
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
武居 幸子 Sophia University, 大学院・総合人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会福祉 / ソーシャルワーク / 地域包括支援センター / 高齢者 / 社会福祉士 |
Research Abstract |
地域包括支援センターの社会福祉士のソーシャルワーク実践について、量的および質的に調査・分析を行った。 まず、地域包括支援センターの社会福祉士の現状とセンター開設以降の変化を把握すること、および在宅高齢者の抱える様々なニーズに対応するために社会福祉士が発揮している専門的機能を捉えることを目的として、郵送調査を実施した。対象は東京・神奈川・千葉・埼玉の全地域包括支援センターの社会福祉士である。調査の結果、以下の点が明らかとなった。第一に、制度的問題の影響が落ち着きを見せ始めていた。社会福祉士が担当する介護予防ケアプラン数は増加しているものの、業務全体で社会福祉士としての専門的業務に割く時間も増えていた。第二に、社会福祉士の専門性の課題として、今後は地域援助活動に力を入れる必要がある。個別援助活動の自己評価は高い回答が多かったが、地域援助活動には自信のない社会福祉士が目立った。第三に、在宅高齢者の持つニーズと、それを援助するソーシャルワーカーの発揮する機能に一定の対応関係が見られた。制度的問題が落ち着きつつある中、社会福祉士の専門的機能をいかに発揮できるかが問われているといえる。 次に、在宅高齢者のニーズおよびソーシャルワークの機能をより詳細に明らかにすることを目的として、地域包括支援センターにおける援助事例分析を行った。事例分析の枠組は、ソーシャルワーク理論であるエコロジカル視点に基づいて作成した。地域包括支援センター3ヶ所の社会福祉士の協力を得て、合計13事例を対象として質的に分析を行った。在宅高齢者のもつニーズは、ライフ・ストレッサーと高齢者のコーピングの相互作用から捉えられた。それに対して社会福祉士は、複数のソーシャルワーク機能を組み合わせて対応していた。今後は、さらに分析する事例の数を増やし、高齢者のニーズと、ソーシャルワーク機能の詳細な対応関係を継続して分析する。
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Research Products
(2 results)