2008 Fiscal Year Annual Research Report
統計物理の手法を用いたエキゾティックな相互作用を持つ多体系の性質の解明
Project/Area Number |
08J09513
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一木 輝久 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ランダム系 / 統計力学 / ノイズ / ニューラルネットワーク |
Research Abstract |
当該年度は「側抑制付き連想記憶モデル」と「レヴィノイズによる相転移現象」の研究を行った。研究課題「統計物理の手法を用いたエキゾティックな相互作用を持つ多体系の性質の解明」において、「側抑制付き連想記憶モデル」は具体的な「エキゾティックを相互作用を持つ多体系」の例として重要である。当研究では。従来の連想記憶モデルでよく知られた系全体の一様な想起相の他に、ニューロン間の距離に依存した相互作用が入ることで、ニューロンの状熊・位置・埋め込まれたパターンの三者の間に相関のある新たな想起相が存在することを見つけた。当研究ではこの系の性質を調べろため、系の状態を1.各ニューロンの状熊を記述するTAP方程式、2.任意のサイズを持つニューロン集団の状熊を記述する状熊方程式、3.系全体体の平均的な状態を記述するオーダーパラメータ方程式の三つのレベルで記述した。これによりミクロからマクロまで全てのスケールで系の状態を知ることができる。 また「レヴィノイズによる相転移現象」についての研究は、「エキゾティックな系」をエキゾティックたらしめる二つの要素「相互作用」と「ノイズ」の内、ノイズに焦点をあてたものである。理論では通常ガウスノイズが仮定されるごとが多いが、これは多体系におけるノイズは多くの相関のないランダム力の重ね合わせのため中心極限定理からガウスンイズでよく近似できることに由来する。しがし一般に多くのランダム変数の重ね合わせはガウス分布を一般化したレヴィ分布に従うことが知られている。レヴィ分布が現れるのはレアイベントが統計的に無視できないことに相当する。ガウスノイズの場合、我々は多くの相転移現象か知っている。一方でレヴィノイズによって引き起こされる相転移現象は報告されていなかった。当研究ではレヴィノイズによって相転移が実際に引き起こされることを示し、ガウスノイズによる相転移現象との比較を行った。
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Research Products
(5 results)