2008 Fiscal Year Annual Research Report
単一周波数、波長可変深紫外コヒーレント光源の開発と核スピン半導体原子の光学制御
Project/Area Number |
08J09519
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
塩見 康友 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 深紫外 / 単一周波数 / 波長可変 / 注入同期 / 精密原子分光 / 核スピン半導体原子 / 同位体制御 / 原子ミラー |
Research Abstract |
近年、核スピン0を持つ質量数28のシリコン基板に、核スピン1/2を持つ質量数29のシリコン原子を制御・配列することで、核スピン半導体デバイスの開発が期待されている。しかし、核スピン半導体原子は深紫外の光と作用する性質があり、同波長域において、実用的な単一周波数、波長可変光源が開発されておらず、共鳴レーザー光を用いた分光実験や光学制御が全く行われて来なかった。 1.核スピン半導体原子の光学制御のための光源は、狭線幅と高強度の性能を有する必要がある。しかし、一般的に両方の性質を1台の光源に付加させることは難しい。そこで、注入同期技術を利用することで、39MHz以下の狭線幅、2.1×10^3W/cm^2以上の高ピークパワー、60GHz以上の広帯域波長可変性を併せ持つ光源を開発した。また、長時間における、発振波長、および出力安定性の評価から、同光源は核スピン半導体原子の光学制御に有用であることを明らかにした。 2.同光源をシリコン原子の光ガルバノ分光に適用することで、光源線幅による広がりを無視できる精密原子分光を実証した。また、各実験条件の依存性から、200Vの低い放電電圧、4mmの大きい陰極内径の時に、シリコン原子を効率よく発生可能であることを明らかにした。さらに、精密な分光測定から、シリコン原子の遷移周波数を同定しただけでなく、光源線幅をも明らかにした。 3.同光源を原子ミラーに適用した場合の、同位体シリコン原子の反射特性をシミュレーションした。各同位体が原子ミラーから受ける力は異なる。それゆえ、原子ミラーを利用して、各同位体、つまり核スピン半導体原子を個別に制御・配列できることを明らかにした。 本研究の成果は、核スピン半導体デバイスの開発に強力な推進力を与えるものである。
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Research Products
(6 results)