2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09547
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 智 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超対称性 / 暗黒物質 / LHC / 宇宙線 |
Research Abstract |
現在までの物理実験は素粒子標準模型によって非常によく記述されている。しかしその標準模型にもいくつかの困難がある。たとえば階層性問題や暗黒物質の存在などがそのような困難の例である。超対称性理論はこれらの問題に対じての一つの明快な解答を与えてくれる。そのため、超対称性は標準模型を超えた物理としてもっとも有望な理論であると考えられている。この超対称性は2009年末にも本格始動するLHCで検証されるであろう。私はこの超対称性模型の現象論を研究した。 一言に超対称性模型といっても、さまざまな模型がある。しかし、その多くは宇宙論的には様々な問題を引き起こすことが知られている。その中で私は宇宙論を考察することでもっとも有望であると考えられるものを考察した。ひとつはグラビティーノと呼ばれる粒子が非常に重い場合である。この模型では比較的長寿命の荷電粒子の存在が予言されるが、この粒子をうまく利用することでLHCにおいてこの模型をテストできることを示した。 もうひとつの模型はグラビティーノが非常に軽い模型である。このように軽いグラビティーノを予言するモデルを構築し、その模型の予言するLHCでのシグナルについて考察した。このような模型は宇宙論的に問題を引き起こさないが暗黒物質に関しては良い模型ではなかった。私はこの模型内で新たな暗黒物質の候補について提案し、その検証についても考察した。そして、この暗黒物質は非常に安定ではあるが、ごくわずかの割合で崩壊することを発見し、その崩壊のシグナルによって現在の宇宙線実験で発見された異常現象を説明できることを示した。
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Research Products
(7 results)