2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09547
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 超対称性 / LHC / 暗黒物質 / 宇宙線 |
Research Abstract |
素粒子標準模型は非常に大きな成功を収めている。しかしその標準模型にも理論的、現象論的困難がある。いわゆる階層性の問題や標準模型の枠内には暗黒物質の候補となる粒子が存在しないことなどがそのような困難の例である。これらの問題点を解決するために多くの標準模型を越えた物理が考案されている。本格稼働を始めたLHC実験はそのような新しい物理を検証に大きな力を持ち、世界中の素粒子研究者の注目を浴びている。 多くの標準模型を越えた物理が提案されている中、超対称性模型というのはもっとも有望な模型であり、長年の間研究が続けられてきた。しかし、超対称性模型が魅力的だが、必ずしも利点だけではない。多くの模型ではSUSY flavor問題や、あるいはgravitino問題と呼ばれる宇宙論的問題を引き起こすことが知られている。そのよう中、低エネルギーgauge mediationと呼ばれるクラスの模型はそのような問題点がない。理論的観点からいっても、gauge mediationは十分に確立した場の理論の手法を用いて構成されるので、その予言性や信頼性はほかのSUSY模型と比べて非常に高いと言える。私はこのタイプのSUSY模型のLHCでの物理を研究した。このような模型でのLHCシグナルは高エネルギーのレプトンや光子が多く伴う特徴的なものであり、非常に発見しやすいものである。さらに宇宙論的制限からSUSY粒子の質量には強い上限がかかる。私は、LHCのシグナルを詳細に調べ、どのようなパラメータ領域までSUSY粒子が発見できるかを調べた。その結果、宇宙論的、理論的考察から許されるパラメータのほとんどの領域で、このタイプの模型はLHCの初期段階で発見もしくは排除できることを示した。
|
Research Products
(6 results)