2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09576
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小山田 圭一 Tokyo Institute of Technology, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 存在論 / 論理学 / 範疇論 / 科学方法論 / 経験的実在論 / 形式論理 |
Research Abstract |
昨年度(H2O)は、存在論的に述定の構造を分析した先行研究を調査し、現代的な論理学の枠組みに反映させることを目的として、哲学史或いは論理学史を概観した。そこから得られた知見は、アリストテレス以来の範疇論を見直す必要性である。範疇論を見直すことによって、本研究の主題である概念と対象の一般理論における対象に関する見通しが強化されるということがわかってきた。さらにそのような観点を踏まえて同一性及び概念間の順序関係を原始記号とした体系の構築を行った。 先行研究として特に参考にしたのは、松本正夫『「存在の論理学」研究』および『存在論の諸問題』であるが、これらの研究から本研究の遂行上重要な問題が明らかになった。それは以下の二点てある。 ・範疇の分類に応じた論理学の分類(弁証法論理、演繹論理、帰納論理、価値論理) ・現代の論理学は演繹論理のみを採用しているが、その他の論理をどう扱えば良いか これらの問題を追求することは、現代論理学が依拠するところのフレーゲ的枠組みを批判することに繋がる。というのは、フレーゲ的枠組みにおいては、対象の範疇論的分類は行われず、対象はあくまで均質であるし、また各種の論理学は区別されず、もっぱら演繹論理のみが理論的対象として設定されるからである。すなわちフレーゲ的枠組みが持つ理論的様式において、上記の二弘は問題とならないか、もしくは無視されてしまう。しかし実際の知的活動が各種の論理を使い分けているのであってみれば、上記の二点を問題視しないのは不当である。この知見を得たことは論理学を根本から見直すことに繋がる重要な成果である。本研究では今後、上記二点の問題を考慮しつつ研究を遂行することになるだろう。 以上が昨年度の研究実績である。
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