2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09602
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
下北 英輔 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 管形成 / 神経管 / 上皮極性 / 神経分化 |
Research Abstract |
SNにおける転写因子Sox2およびアクチン骨格制御因子Rac1の働きが上皮形成に必要であることを示した。また、転写因子Cdx2によってもPax2と同様にSNを異所的に引き起こすことが可能であることを発見した。 (1)転写因子Sox2はSNにおける上皮形成に必要である。 SNにおける細胞の上皮化に伴って神経管マーカーである転写因子Sox2が発現することを見出した。さらに、Sox2は規則正しい上皮構造を作ることに必要であることを示した。これまで神経管におけるSox2の働きは神経幹細胞の未分化性の維持であると考えられてきたが、今回得られた結果からSox2は間充織-上皮転換という細胞の形態変化においても重要な働きを担っていると考えられる。神経系を形成する上で重要なSox2の新たな働きを示したという点で重要であるといえる。 (2)SNの上皮化にはRac1の働きが必要である。 これまでのin vitroにおける研究から、上皮極性の形成にはRhoファミリーというアクチン骨格を制御する遺伝子群の働きが重要であると考えられている。しかしながら、in vivoにおける上皮極性形成とRhoファミリーの解析は現在のところあまり進んでいない。そこで、SNが進行している細胞においてRhoファミリー(Cdc42、RhoA及びRac1)の機能阻害を行った。その結果、Cdc42及びRhoAの阻害では上皮形成に異常は見られなかったが、Rac1を機能阻害したところ上皮極性の形成異常が見られた。これらの結果は、本研究室で報告された体節形成(同じく間充織-上皮転換)における結果と一致し、in vivoにおける間充織-上皮転換の共通メカニズムが明らかになりつつある。 (3)転写因子Cdx2はSNの異所的な誘導に十分である。 これまでに転写因子Cdx2をノックアウトしたマウスはSNを含む体の尾部領域が欠損すると報告されている。また、Cdx2はSN特異的に発現していることから、Cdx2とSNの間に何らかの関係があるものと推測した。そこで、Cdx2をし異所的に中胚葉前駆細胞に強制発現させると、前年度報告したPax2と同様に異所的な神経管構造を形成した。現在、Cdx2の阻害実験やPax2との関係性について調べている。
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