2008 Fiscal Year Annual Research Report
新物理を含むニュートリノの相互作用の解明とその質量構造に関する研究
Project/Area Number |
08J09677
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
内波 生一 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レプトンフレーバー混合構造 / 非標準的相互作用 / 長基線ニュートリノ振動実験 |
Research Abstract |
研究者が平成20年度に行った主な研究業績は、非標準的相互作用を含むニュートリノ振動確率の摂動公式を導いたことである。 将来のニュートリノ振動実験では精密なパラメータ測定が行われることが計画されている一方で、標準的な枠内に収まらないニュートリノに関わる何らかの新しい物理の発見も期待されている。特に長基線実験では、ニュートリノが地中を伝播する際に生じるかもしれないニュートリノと物質との非標準的な相互作用物質効果の探索が議論されてきた。しかし、そうした非標準的物質効果を一般的に導入すると、ニュートリノの発展方程式に3×3のエルミート行列が導入されそれぞれの項が複雑に振動確率に影響することになり、振動確率がどのように非標準的相互作用項に依存しているか理解されていなかった。今回の研究では、全ての要素を同時に含んだ形で全てのニュートリノ振動チャネルの摂動公式を導き、その形を見ることで非標準的相互作用項のそれぞれの要素がどのように振動確率に影響を与えるかを解析的に理解した。その結果、特定の振動チャネルで特定の要素のみが大きく影響を与えることを確認した。これにより、実際に数値シミュレーションを行う際に必要のない計算を省略することが可能となる。また、得られた摂動公式を使うことにより、実験の際に生じうるパラメータ縮退の問題についても、解析的な見地からその物理的意味・解決方法を説明することが可能となった。
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Research Products
(5 results)