2009 Fiscal Year Annual Research Report
新物理を含むニュートリノの相互作用の解明とその質量構造に関する研究
Project/Area Number |
08J09677
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
内波 生一 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | ニュートリノ / レプトンフレーバー混合構造 / CP位相 / パラメーター縮退 |
Research Abstract |
研究者が平成20年度に行った主な研究業績は、ニュートリノ振動におけるパラメーター縮退問題について、その構造を解析的に明らかにしたことである。 将来の長基線ニュートリノ振動実験では、レプトンフレーバー混合構造を記述する混合パラメーターのうち、未だ測られていないシータ13角とレプトンセクター小林・益川CP位相の同時測定が期待されている。しかしこの実験には、どれだけ精密に測定を行っても決定すべきパラメーターが一意に決まらない「パラメーター縮退」と呼ばれる問題が存在しており、具体的には8個の解が存在することになる。 本研究では、その八重縮退の関係が3つの基本的なマッピングを用いて簡潔に表すことが出来ることを示し、パラメーター縮退問題がニュートリノ振動確率を不変にする変換によって理解できることを明らかにした。その過程において、様々な実験条件下で考えられるすべての八重縮退の解析解を、振動確率の摂動公式を用いて導いた。また、その縮退解の摂動公式を得ることにより、それらがどのような特徴を持っているかを簡潔に示すことに成功した。 さらに本研究では、縮退解の解析式を用いて様々な長基線実験条件の下、縮退解が「真の値」からどのようにずれているかを、様々な図を用いて示した。それらの図は、どのような縮退が解き辛いか、どのような条件下で注意すべき縮退となっているか、といった問題を理解することに非常に有用である。 本研究ではこうした様々な結果を提示することで、ニュートリノ振動におけるパラメーター縮退の問題を明確かつ網羅的に理解するための研究結果を残した。
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Research Products
(2 results)