2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ界面/構造を制御した炭素ナノ材料複合セラミックス創製と多機能化
Project/Area Number |
08J09683
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 剛 東北大学, 流体科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / カーボンナノチューブ / 複合材料 / 焼結 / セラミックス / 機械的特性 / ナノ欠陥 / き裂架橋効果 |
Research Abstract |
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)配合アルミナ複合材料の開発を目的として,水酸化アルミニウムを前駆体とし,放電プラズマ法を活用した焼結を行うことにより,アルミナ単味の強度,破壊靱性値を大きく超える複合材料の作製に成功した.MWCNTに静電反発力を付与するための湿式酸化処理法を用いた表面化学修飾に関する体系的な研究を行い,均一分散を行うための最適な処理時間が存在することを明らかにした.MWCNTの分散性を飛躍的に向上させることに成功したことに加え,MWCNTとセラミックス母材との界面構造・性質を理解する目的で,SEM観察下においてマニピュレーション技術を駆使することで,1本のMWCNTのみを複合体から引抜く実験を実施し,複合体の破断時にはMWCNTは完全に引き抜けるのではなく,最外層を含むMWCNTが破断を生じることを世界に先駆けて明らかにした.この観察結果は,複合体の破壊特性の向上のためには、MWCNTの破断を防止することが有効であることを示しており,複合化に関して重要な知見を提供するものである.MWCNT単味の引抜き実験から得られた知見をもとに,適切なMWCNTの強度・剛性・寸法の選択,さらにはMWCNTの表面化学処理ならびにセラミックス母材の合成に前駆体法を利用することで,界面構造をナノスケールで制御した複合体を作製した.その結果,MWCNT単味の強度・剛性・形状の選択が複合体の力学的特性向上に極めて重要な設計要素であることを見出し,世界トップクラスの曲げ強度と破壊靱性特性を兼ね備えた複合体の作製に成功した.
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Research Products
(15 results)