2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ界面/構造を制御した炭素ナノ材料複合セラミックス創製と多機能化
Project/Area Number |
08J09683
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 剛 Tohoku University, 流体科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ナノ欠陥 / セラミックス / アルミナ / 複合材料 / 機械的特性 |
Research Abstract |
これまでの研究により、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とアルミナマトリックス間との引抜け挙動を抑制するナノ欠陥をMWCNT表面に導入することで、既成のアルミナセラミックス材料と比べ優れた材料特性を有する材料合成に成功している。しかしながら、現時点ではMWCNTの有する材料ポテンシャルを充分に活用するには至っていない。本開発材料を実用化するための課題の一つが、MWCNTの有する材料ポテンシャルを開発材料に反映させることである。ここで隘路となっているのが、(1)ナノ欠陥導入に起因するMWCNT単身の力学的特性に及ぼす影響評価と、(2)ナノ欠陥導入に起因するMWCNTと母材間の界面特性に及ぼす影響評価が未解明である点である。本年度は、University of Texas at AustinのRodney S.Ruoff教授らの研究チームに6ヵ月間滞在することで、研究課題(2)の"界面強度増大のためのCNTのナノ設計に関する検討"に関する研究を重点的に行った。具体的には、走査型電子顕微鏡内に設置したAFMカンチレバー式ナノ特性評価装置を活用することで、(1)未処理およびナノ欠陥を有するMWCNT単身の引張強度試験と(2)複合体の破面に認められるMWCNT単身の引抜き試験を行った。MWCNT単身の力学的特性におよぼすナノ欠陥の影響評価を行い、欠陥寸法10-20nmを有するMWCNTの引張強度は1〜18GPaであり、その平均値は6GPaであることが分かった。一方、未処理のMWCNTの引張強度は2〜48GPaであり、その平均値は20GPaであった。本研究で導入したナノ欠陥はMWCNT単身の引張強度を平均で70%減少させることを明らかにした。次に、複合体の破面に認められるMWCNT単身の引抜き実験を行い、MWCNTと母材間の界面強度に関する評価を行った。その結果、試験を行ったすべてのMWCNTは支点間内で破断を生じ、母材からの引抜け挙動を示さなかった。上述したMWCNT単身の引張り強度試験結果に基づけば、MWCNT-アルミナマトリックス間の界面強度は平均で20GPa以上を有することが示唆された。
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Research Products
(12 results)