2009 Fiscal Year Annual Research Report
高次元細胞内構造情報に基づく多面的フェノタイピング
Project/Area Number |
08J09689
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大貫 慎輔 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | CalMorph / 化学生物学 / ドラッグスクリーニング / 細胞形態 / 表現型 / ハイコンテントイメージング / 薬剤標的推定 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
生理活性物質の作用標的を同定し、作用機構を明らかにすることは、治療薬開発においてだけでなくケミカルジェネティクス的アプローチによる生命機能解明においても重要である。薬剤探索や作用標的を推定する一つの方法として、特定のタンパク質の活性を指標とした生化学的なスクリーニング法が広く利用されているが、この方法では他のタンパク質との潜在的な相互作用を捉えることは難しい。潜在的な相互作用を評価するためには、薬剤が細胞に与える影響を多くの観点から評価する必要がある。高解像度の顕微鏡画像を使用するハイコンテントスクリーニングは多くの観点からの評価を可能にするはずであるが、この方法もまた、現状では薬剤処理時における特定の標的タンパク質の挙動を観察対象としており、その可能性を十分に発揮しているとはいえない。本研究室ではこれまでに、酵母細胞の蛍光顕微鏡画像から501種類の細胞形態の特徴を高速に数値化する画像解析プログラム『CalMorph』を開発しており、さらに出芽酵母非必須遺伝子破壊株4718株の形態情報(Ohya et al., 2005, PNAS)を取得済みであるため、薬剤を細胞に与えたときに細胞形態に及ぼす影響を4718遺伝子破壊株の形態情報にもとついて定量的に評価可能となった。そこで本研究では、野生型細胞の用量依存的形態変化の特徴と4718遺伝子欠損株の遺伝子欠損による形態変化の特徴を比較して、それらの類似性から体系的に作用標的を推定するプロファイリング法を開発した。HU(hydroxyurea)をはじめとする4種類の作用標的既知薬剤をテストケースとしたところ、いずれのケースでも標的候補遺伝子を600~800程度にまで絞り込むことに成功し、その中には標的遺伝子と機能的に関連する遺伝子が多く含まれていた。この新しい解析手法は細胞形態に影響を与えるならば、いかなる生理活性物質にも応用可能であり、薬剤作用機構の推定に汎用的な技術である。
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Research Products
(2 results)