2009 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母の細胞壁チェックポイントにおけるHOG signaling pathwayの働き
Project/Area Number |
08J09694
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊地 陽 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 出芽酵母 / 細胞壁チェックポイント / HOG経路 / MAPK / CWI経路 / 細胞壁合成阻害 / シグナル伝達 / G2 / M期 |
Research Abstract |
「細胞壁チェックポイントでのHOG経路の働き」を解明するため、当該年度では計画調書に記載した3つのテーマのうち前年度に進展のあった『細胞壁チェックポイントシグナル伝達の解明』に焦点を当てて調べた。 1.細胞壁チェックポイントとHog1p活性の時系列的関係 前年度で、HOG経路のMAPK(Hog1p)が弱いリン酸化をすること、そのキナーゼ活性が必要であることを明らかにした。当該年度でさらに詳しく調べた結果、Hog1pはG1期初期だけ弱くリン酸化することがわかった。そして、1NM-PP1で特異的に活性を抑制できる変異hog1-asを導入した株で調べた結果、弱いリン酸化を示したG1初期のキナーゼ活性が必要であることがわかった。さらに、その時期以降に細胞壁合成阻害を起こしても細胞周期は停止しないことがわかり、これまでの結果からこのチェックポイントはG1期初期にHog1pを活性化し、G2/M期で細胞周期を停止させることが明らかになった。 2.Hog1pの下流因子の同定 高浸透圧下で活性化するHog1pは通常は核へ移行し、転写を調節する。前年度で、Hog1pが主に細胞質側に局在することを示したが、核移行に関してはわからなかった。そこで、Hog1pが膜に定着させる変異を導入し調べた結果、核移行できなくてもこのチェックポイントが働くことがわかった。さらに、核外のHog1pの下流因子について調べた結果、CWI経路のMAPK(Slt2p)とそのMAPKK、MAPKKKまでの因子がこのチェックポイントに関与していることが明らかとなった。また、このチェックポイントが働くと、Slt2pは徐々にリン酸化され、そのリン酸化はHog1p依存的であることもわかった。これらのことからHog1pが活性化を経由し、Slt2pを活性化し、細胞周期を停止させるというシグナル伝達機構が予想できた。
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Research Products
(1 results)