2009 Fiscal Year Annual Research Report
c-Ablの機能的複合体形成における動的活性制御機構の解析
Project/Area Number |
08J09696
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
圓岡 真宏 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Bcr-Abl / c-Abl / Abi-1 / VASP |
Research Abstract |
c-Ablの酵素活性がアダプタータンパク質Abi-1により制御されるという機構から、前年度までに新規基質としてVasodilator-stimulated phosphoprotein(VASP)を同定し、その詳細なリン酸化機構についても解析を行った。本年度はVASPのリン酸化による細胞内機能の解明に焦点をあてて研究を行った。VASPのリン酸化はBcr-Ablでガン化した白血病細胞に共通に認められることが報告されている。VASPのリン酸化による機能変化を検討するため、VASPの偽リン酸化型変異体を作製し、細胞内局在を解析した。その結果、VASPは野生型と比較して接着班への局在が有意に低下することが線維芽細胞を用いた解析で明らかになった。さらに、精製タンパク質を用いた解析結果から、その結合分子として知られているZyxinとの親和性が低下することが明らかになった。Zyxinは接着班に局在するタンパク質であり、Zyxin欠損細胞はVASPの接着班への局在が消失することから、AblによるVASPのリン酸化は、Zyxinとの相互作用を阻害する働きをもつものと考えられる。一方、偽リン酸化型VASPを発現する白血病細胞は、リン酸化されないVASPを発現する細胞と同様に、対称細胞と比較して有意に細胞接着能が低下することが分かっている。このことからVASPのリン酸化は、脱リン酸化を伴うことで白血病細胞の接着性の亢進に役割をもっものと考えられる。Bcr-Ablによる白血病の発症において、Abi-1が介在する基質のリン酸化機構の証明と、その具体的基質であるVASPの同定、さらにはVASPのリン酸化における白血病細胞の接着能への関与を明らかにしたことは、白血病の発症機構を理解する上で新たな手掛かりとなる新しい知見となると考えられる。
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Research Products
(2 results)