2008 Fiscal Year Annual Research Report
大質量星をプローブとした相対論的アウトフローの解明
Project/Area Number |
08J09716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小高 裕和 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガンマ線天文学 / X線天文学 / コンプトン望遠鏡 / ガンマ線連星 |
Research Abstract |
次世代のsub-MeV/MeVガンマ線観測を目指し、Si/CdTe半導体コンプトン望遠鏡の開発および性能実証試験を行った。私はコンプトン望遠鏡のデータ取得システムおよび解析ソフトウェアの開発を主導した。データ取得システムとして、次世代人工衛星用通信規格SpaceWireを利用し、気球に搭載することが可能なコンパクトなシステムを完成させた。また、検出器の性能実証実験として、高分解能イメージング実験および偏光測定実験を行った。イメージング実験では、非密封ガンマ線源を用いたグリッド状線源や広がった線源の撮像を実施した。半導体コンプトン望遠鏡の高い角度分解能を活かし、画像再構成法を適用することで、従来の点源イメージだけではなく、広がったガンマ線源に対してもコンプトン望遠鏡が高いイメージング能力を持つことを示した。さらに次世代のガンマ線連星の観測的研究の鍵を握る偏光観測の実証のためにシンクロトロン放射光施設SPring-8で偏光ビームの測定実験を行った。この実験により、Si/CdTeコンプトン望遠鏡が、偏光角を1度、偏光度を数%という高い偏光測定能力を持つことを示した。 次世代観測のための検出器システム開発と並行し、ガンマ線連星や大質量X線連星における物理現象、特に放射メカニズムの解明のため、天体モンテカルロシミュレータの開発を行った。素粒子・宇宙実験などで用いられるモンテカルロコードGeant4をベースにして、宇宙物理特有の物理プロセスを拡張することに成功した。特に光電離プラズマにおけるX線の放射を原子物理学に基づいてモデル化し、シミュレータに実装した。
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Research Products
(1 results)