2010 Fiscal Year Annual Research Report
維管束組織の構築における木部と師部の相互作用を担う分子機構の解析
Project/Area Number |
08J09725
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 有宇樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 維管束 / 師部 / 木部 / 形成層 / CLEペプチド |
Research Abstract |
維管束を構成する師部および木部組織は、どちらも前形成層/形成層細胞と呼ばれる維管束幹細胞の活動により成長する。この過程を制御する仕組みを明らかにするため、CLEファミリーに属す分泌性低分子ペプチドTDIFに着目した。これまで、TDIFペプチドリガンド-TDR受容体-WOX4標的転写因子のシグナル経路が存在することを明らかにした。このシグナルが前形成層細胞の増殖を促進すること、WOX4非依存的に木部分化を抑制する働きを持つことが分かり、維管束における幹細胞維持に必要であることが明らかとなった。 今年度は得られたデータをまとめ、Plant Cell誌に論文として発表した。その他に以下の実験を行った。 1)TDIFシグナル経路の新規因子の探索 TDIF遺伝子を過剰発現する変異体背景で変異源処理を行い、表現型を抑圧する変異体を探索した。予備的なスクリーニングにより、約30個体の候補を見出した。 2)胚軸二次成長における維管束成長様式の観察 シロイヌナズナの胚軸二次成長過程を観察した結果、この成長過程がおそらく内鞘細胞を含む中心柱の細胞群の増殖によるものであることが示唆された。さらに詳しい観察を行うため、組織特異的なプロモーターGUSレポーターラインを野生型およびtdr等の各変異体背景で作成した。また、in situ hybridization法によっても発現パターンを確認したところ、TDR mRNAが前形成層に局在することが分かった。これらのマーカーは、二次成長の発生様式をより詳細に追うために利用できる。
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Research Products
(4 results)