2008 Fiscal Year Annual Research Report
維管束組織の構築における木部と師部の相互作用を担う分子機構の解析
Project/Area Number |
08J09725
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 有宇樹 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 維管束 / 師部 / 木部 / CLEペプチド |
Research Abstract |
維管束を構成する師部と木部の細胞は、どちらも前形成層細胞と呼ばれる維管束幹細胞より生まれる。この過程を制御する仕組みを明らかにするため、CLEファミリーに属す分泌性低分子ペプチドTDIFに着目した。 1、TDIFはシロイヌナズナ植物体に投与することで前形成層細胞から木部細胞への分化を抑制する効果を持つことが分かっていた。新たに胚軸の維管束切片を詳細に観察した結果、前形成層細胞の増殖が促進されていることが分かった。したがって、TDIFは維管束幹細胞である前形成層細胞に働きかけ、分裂の促進と木部細胞への分化抑制の二つの機能を果たすことが示唆された。同様の結果は、TDIFをコードするCLE41、CLE44遺伝子を強制発現させた形質転換体においても見られた。 2、TDIFはロイシンリッチリピート受容体型キナーゼ(LRR-RK)によって受容されると予想されていた。また、1の結果から、前形成層細胞で発現するLRR-RKがその重要な候補となった。この情報を基に、収集したLRR-RK遺伝子変異体を用いてTDIF非感受性変異体のスクリーニングを行った。その結果、一つのLRR-RK遺伝子変体でTDIFへの感受性が失われており、この遺伝子TDIF RECEPTOR(TDR)がTDIFの受容体であると考えられた。TDRは最近報告されたPXYと同一の遺伝子である。tdr変異体では前形成層細胞が減少しており、内生のTDIFに対して感受性が低下していると考えられた。また、TDRはたしかに前形成層細胞で発現することも分かった。TDIFが主に師部より分泌されることから、前形成層細胞の運命決定において師部と木部の間にはTDIFとTDRを介したクロストークが存在すること、この仕組みが幹細胞集団の維持にも働くことが示唆された。
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Research Products
(4 results)