2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス性慢性疼痛における脱髄および神経可塑的変調機構の解明
Project/Area Number |
08J09743
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永井 潤 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | リゾホスファチジン酸 / 脱髄 / 可塑的変調 / アロディニア / 疼痛過敏 / ミクログリア / 視床 / リゾホスファチジルコリン |
Research Abstract |
リゾホスファチジン酸(LPA)を責任分子とした末梢性神経因性疼痛時の基礎的概念に基づき末梢および中枢レベルでのストレス性慢性疼痛における脱髄ならびに神経可塑的変調機構の解明を遂行している。 末梢神経系 坐骨神経傷害に基づく神経因性疼痛モデルにおいて、後根神経での脱髄は末梢側よりも脊髄入力部位で顕著に観察されることを明らかにした。このことは傷害ストレスを受けた一次知覚神経は過剰な刺激を脊髄後角に伝達する事でLPAの産生を誘導したと考えられる。さらに脊髄後根での脱髄はLPA合成酵素であるオートタキシン(ATX)遺伝子改変マウスで抑制されることから、LPAの前駆体であるリゾホスファチジルコリン(LPC)がATXの働きによりLPAへと合成され、脱髄を誘導している可能性を見出した。 中枢神経系 (1)中枢神経系における脱髄及び神経可塑的変調機構の解析のため、より上位脳に近い脊髄に傷害ストレスを与える脊髄損傷モデルマウスを確立した。また、本モデルは臨床において脊髄損傷患者に観察される疼痛過敏及びアロディニア現象が観察されることから、本実験動物モデルの有用性を明らかにした。 (2)LPAは末梢一次神経傷害時にその投射先である脊髄でde novoで産生されるので、LPAを痛みの伝達経路の第二中継地点である視床部位に直接投与することにより痛覚過敏およびアロディニア現象を確認した。また、その過敏応答にはLPA特異的なミクログリアの活性化が関与することを見出しており、神経可塑的変調機構解明の手がかりを見出した。 (3)ストレス性慢性疼痛におけるLPA/LPC産生部位を同定するため、マウスの組織サンプルから脂質を抽出する方法を確立し、現在LPAの前駆体であるLPCをNALDI法により定量的解析を行っている。
|
Research Products
(7 results)