2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス性慢性疼痛における脱髄および神経可塑的変調機構の解明
Project/Area Number |
08J09743
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永井 潤 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / 脱髄 / カルパイン / アロディニア / 疼痛過敏 / 後根神経 / 視床 / 可塑的変調 |
Research Abstract |
リゾホスファチジン酸(LPA)を責任分子とした末梢性神経因性疼痛時の基礎的概念に基づき末梢および中枢レベルでのストレス性慢性疼痛における脱髄ならびに神経可塑的変調機構の解明を遂行している 末梢神経系 (1)後根神経特異的脱髄:C57BL/6J系雄性マウスの坐骨神経部分結紮1週間後において後根神経と坐骨神経に脱髄およびミエリン関連タンパク質の一種であるMAGの発現低下を観察した。一方、LPA1受容体遺伝子欠損マウスでは後根神経のみの脱髄およびMAGの発現低下が消失した。さらに、坐骨神経、脊髄神経、後根神経を用いたEx vivo培養実験では、LPAはいずれの領域においても脱髄を誘発したので、神経障害による後根神経の脱髄はLPA産生部位と関連することが示唆される。 (2)LPA産生:坐骨神経障害後の各種神経線維と脊髄をLPAのバイオアッセイ法を用いて定量を行ったところ、脊髄と後根神経でLPAの産生増加がみられた。さらに、脊髄腔内に投与されたLPAは、LPA自身の産生を増強することを見出し、このLPA誘発性LPA産生機構にはLPA3受容体が関与することを見出した。 (3)MAGの分解機構:LPAによるMAGの分解機構には、calpainの活性化が関与することを見出した。さらにはcalpainの特異的阻害剤が神経因性疼痛を遮断することを明らかにした。 中枢神経系 (1)LPA視床内投与:LPAを痛みの第二中継地点である右脳視床部位に直接投与することにより1週間以上長期にわたる両側性の痛覚過敏およびアロディニア現象を確認した。さらに、その過敏応答にはLPA1受容体およびミクログリアが関与することを明らかにした。また、LPAによるミクログリア活性化は視床の右外側のみに限局しているにも関わらず、過敏応答は両側性で観察されることから情動的経路の関与が推測される。
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Research Products
(12 results)