2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米村 幸太郎 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 法哲学 / メタ倫理学 / 価値論 |
Research Abstract |
本年度に於いても、昨年度に引き続き、(1)内在的価値論分野における文献の渉猟、精査および(2)価値論を遂行する上で必要な限りでの現代形而上学に関するサーヴェイを遂行した。特に、昨年度に着想を得たG.E.Moore的価値論の現代的擁護というプロジェクトについて、昨年の東京法哲学研究会における発表と質疑を元にしつつ、『創文』に短い論考を発表することができた。しかし、それ以外の点においては、目立った研究の進展を得る事は、残念ながらできなかったと言わざるを得ない。価値論それ自体の成否は、それが規範理論のなかで果たす役割の説明可能性によって判定される以上、規範理論自体への参照が不可欠であるものの、その点については、Krister Bykvistをはじめ、現代の功利主義理論のいくつかの概説を渉猟しはしたが、自身の最善と考える立場を確定するには至らなかった。また形而上学に関しては、Moore自身が自分自身の議論と極めて近似しているとみなしていたFranz Brentanoに関してサーヴェイを行った。The Foundation and Construction of Ethicsなどの彼自身の著作及び、Brentanoに関する研究書を渉猟したものの、Moore主義自体の当否に関して、まとまった知見、示唆を得るには至らなかった。代わりに、研究の途上においてMoore的価値論の人権論への応用という着想を得、権利論に関するサ―ヴェイを年度の後半は遂行した。今後は、Moore主義の擁護というプロジェクトを継続しつつ、こちらの方にも注力していきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)