2008 Fiscal Year Annual Research Report
輝度の時間的変動を伴う光環境の心理学的及び神経生理学的評価に関する研究
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08J09749
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡本 洋輔 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 人間福祉医工学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光環境 / 輝度 / 時間的変動 / エンベロープ / 検出閾 / 脳磁界 / 網膜 / 知覚メカニズム |
Research Abstract |
昨年度までに行った実験結果では,振幅変調点滅光のエンベロープ周期に対する検出閾はキャリア周波数に依存しており,キャリア周波数が高い(40Hz)の場合にはエンベロープ周期が知覚されにくいことが明らかになった.エンベロープ成分の知覚に低域通過型の周波数特性が見られることから,振幅変調点滅光が網膜の低域通過型フィルタを経た後にエンベロープ成分が生成,つまりエンベロープ情報は網膜の低域通過型フィルタより後の視覚路で抽出されていると考えることができる.仮にエンベロープ成分が網膜の低域通過型とその後の高域通過型フィルタの間で生じた歪成分であるとすると,エンベロープ知覚特性には高域通過型フィルタの影響が見られるはずである.一方,エンベロープ情報が網膜の高域通過型フィルタより後の視覚路で抽出されているならば,エンベロープ知覚特性は高域通過型フィルタの影響を受けないであろう.本研究では,脳磁界計測によって観察された大脳視覚野活動から,エンベロープ知覚特性とその神経生理メカニズムについて検討を行った. 正弦波状点滅光と振幅変調点滅光を呈示時の脳磁界反応を計測し,後頭部で得られた脳磁界反応について,正弦波状点滅光の時間周波数または振幅変調点滅光の変調周波数(エンベロープ周期)に対応する成分を求めた.正弦波状点滅光に対する脳磁界反応は時間周波数の増加に伴って,低周波域(2-4Hz)で増大し,高周波域(12-20Hz)で減少した.振幅変調点滅光に対する脳磁界反応は変調周波数の増加に伴って低周波域(2-4Hz)で減少した.振幅変調点滅光のエンベロープ周期に対しては,低周波域における変調周波数の増加に伴う脳磁界反応の増加はみられなかった.この結果は,振幅変調点滅光のエンベロープ情報が高域通過型フィルタの影響を受けていないことを示しており,エンベロープ成分が網膜の高域通過型フィルタより後の視覚路で抽出されている可能性を示唆している.
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Research Products
(7 results)